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AKIHITO Interview

「Simple is the best」

インタビュー構成:高貴準三

--業界デビューの頃から「AKIHITO」と名乗ってらっしゃいますが、その頃から海外で仕事をすることを考えてらっしゃったのですか?
海外は意識してなかったです。海外は憧れていましたが諦めていました。「TVチャンピオン特殊メイク王選手権2」に初出場が決ってから、一生懸命自分の名前を考えましたね。「AKIHITO真偽屋」にしようと思ったのですが、友人の彼女に「なんか風車のヤヒチみたい」と言われ素直に自分の名前をローマ字表記しただけです。ウルトラマンコスモスでは「AKIHITO真偽屋」にしていますけどね。

--『モスラ3』では造形スタッフに名前がありましたが。
モンスターズで約2週間だけ働きましたね。確か4分の1サイズのキングギドラの組み立てと等身大のキングギドラ(オールドタイプデザイン)のお腹辺りのウロコ貼りしました(^^)。真夏に制作したので、死ぬほど暑かったのを思い出します。
今思えば、日本の夏はクリエイターには地獄ですわ(^^)

--渡米なされたきっかけは?
文化庁派遣芸術在外研修員制度に応募し合格したのがきっかけです。国から奨学金をもらって2002年の10月に渡米しました。

--すぐに仕事がありましたか?
直ぐに仕事はなかったです。知り合いも、コネクションも何もない状態で一からのスタートでしたんで(^^)。あるのは友人からもらった工房リストだけ。とにかく身の回りの生活環境から整え、履歴書と作品集を40冊ぐらい作って全ての工房に郵送しましたね。

--海外で仕事をする上で日本人であることの利点と欠点を教えてください。
利点は、とにかく日本人は「勤労で仕事が丁寧?」コレに尽きます。少し働きすぎですかね(^^) ちんたら仕事しても、他の人より仕事が速いのはなぜ? とたまに思います(^^)。
欠点は、自分を表に出す表現力と語学力のなさです(-_-;)。6年も英語教育を受けていて話せないのは珍しい国かもしれません。もし英語が話せれば、いろんな分野で日本人の多くは世界のトップに躍り出る事が出来ると思います。自分も人にこんなこと言えないくらい話せないのですけどね(-_-;)

--『AVP』参加の経緯を教えてください。
こちらで有名な彫刻家ジョーデュー(エイリアン4のウォーリアーエイリアンのデザイン彫刻した人)がADIに推薦してくれたんです。
「彼と友達になろう?」と彼の彫刻の授業を取ったのが事の始まりです。最後まで英語が全然だったので話も出来なかったですけど(^^) ADI工房見学のアポをとるのに2か月半電話し続けたのに、ジョーデューに推薦してもらったら、社長から電話があり、直ぐに仕事に就けました。
初めは社長のアレックも疑心暗鬼。AVPの仕事には直ぐ就けず、彼の個人プロジェクトのマケット(検討用人形)を2体作ることから始めました。一体目に作った「蛇のモンスター」を物凄く評価してくれて、今回のポジションをゲット出来た気がします。アレックが仕上がった「蛇モンスター」を前にして、少しの沈黙の後「You a son of a bitch!! 」と言いながら、親指立てて「Good?」のポーズと一緒にニコリと微笑んでくれたのを今でも忘れず覚えています。嬉しかったですね(^^)

--ADI(アマルガメイテッド・ダイナミクス・インク)の代表の二人について。
二人とも真面目で凄く気さくな人たちです。簡単に言うとアレックは陽気な人、トムは真面目な人という感じです。今では「よくこんなに英語が話せない人を相手にしたな〜」と思うくらいです。二人ともきちんと向き合ってくれましたね。

--クイーンの原型の彫刻製作だけですか?
もう一つ、この映画で唯一のニューデザイン「チェストバスター」のデザイン・彫刻もしましたが監督の意向でボツになりました。その後、他の彫刻家によって制作されましたね。凄く残念です。

--クイーンの原型の彫刻製作で印象に残ったことを教えてください。
クイーンエイリアンを4分の1サイズマケットで制作した後、サイバースキャンして4倍に拡大するんですが、頭部の制作に関して、前回「エイリアン4」で使用したクイーンの頭を土台に使うことになり、4分の1サイズ頭部を彫刻する時、大きなデザイン変更は禁物、土台の削りすぎも禁物(等身大の頭部と合わなくなるので)、だけど今までと雰囲気を変えなきゃいけないと、色々大変でした。また細かい彫刻(ディテール)はさほど必要でなく彫刻の流れが重要でした。車のデザインをしている感覚と同じでしたね。

--日本での仕事と比べて、やりやすい点ややりにくい点を教えてください。
やりやすい点は、工房の広さ、労働時間、材料の豊富さ等、環境が日本に比べ格段によくなったことです。また分業制なので、一つのことに集中できる事です。日本では、仕事を受けたら、お金・スケジュール管理等、最後まで全部自分一人でしなければいけなかったので(-_-;)。
やりにくい点は、完全分業制なので、うまくかみ合えば素晴らしい物が出来るのですが、かみ合わなかった時が、凄く時間の無駄ですし、かみ合わせるまでが大変です。あと、自分のポジション(自分の場合は彫刻)が決ると、ずっとその仕事をし続けないといけないのが、たまに疲れますし、飽きちゃいます。(カナリ我がまま言っています。スミマセン(^^))

--自分の仕事の記録も、工房のカメラでしか撮影させてくれなかったと聞きましたが…。
(徹底した秘密主義について)

特に「エイリアン」「プレデター」は人気の高いキャラクターなので、厳しかったと思います。またAVPに限らす、アメリカのA級映画は、会社サイドが映画会社と契約する時に、 その内容(情報漏洩を禁止する)がもりこまれているからだと思います。今回の制作期間中は、工房で働いている人たちの親族は別として、友人関係の工房見学や、遊びに来ることは禁止されました。

--工房での仕事はかなり細分化されているようですが。
完全分業制です。デザイナー、彫刻家、モールドメイカー(型どり)、キャスティング(成型)、シーマー(修正・バリとり)、ファブリケイター(縫い)、ペインター(色塗り)、メカニック・フォーム(人工皮膚制作)、ラナー(買い物係り)、ヘアー(髪の毛)等、細分化されています。これにスーパーバイザーと言う工房のパイプライン・スケジュール管理役もいます。

--造形家として影響を受けた映画や芸術家を教えてください。
芸術家はタレントのジミー大西、カメラマンでは江角まきこのヌード写真集を撮影した野波ひろし氏、ピカソ、映画では、やはり「エイリアン」「プレデター」はこの業界に憧れた映画の一つだと思います(^^)。日本映画では「大魔神」かな(^^)

--造形家として一番うれしいと感じる瞬間は?
やはり作品が出来上がって、周りの評価が高い時ですかね。納得いく作品に出来あがた時も嬉しいです。そういう時、結構自分に酔っていますけどね(^^) 
それと自分の造りたい作品がふと浮かんだ時です。

--造形家として大切にしていることや気をつけていることがありましたら教えてください。
●よい作品を多く見て目を肥やす事。 
●「Simple is the best」物事を出来るだけ素直に見るように、受け取るようにしています。・
●「第三者の目」を持つようにしています。自分の作品を第三者的に容易に見られたら、彫刻のレベルがぐっと良くなると思います。

--現在は、KNBでお仕事をなさっているとか。
はい、KNBの彫刻家として働いています。前に述べたように、ココでは詳しく言えませんが、「ロード・オブ・ザ リング」と「ハリポタ」を合わせたような大きな仕事しています。その他にも色々と……。

--いつごろ完成・公開する映画なのか――だけでも、教えていただけませんか?
恐らく1年後ぐらいにはこちらで公開するのでは? という感じです。日本でも同時上映だと良いですね。スミマセン詳しくは知りません (@_@;) 。

--これから特殊造形、メイクアップを目指す人たちにアドバイスなどありましたらお願いします。
難しいですね。厳しい業界なので(;一_一)。自分に大きな目標があったわけでなく、タダ漠然と「業界のトップになる?」そう信じて、目の前の自分の仕事を一生懸命しただけです。誰にでもチャンスや行動すべき時期が来ると思います。その一瞬しかない時期を逃さないように日々努力して感覚を研ぎ澄ましておいて欲しいと思います。
また、こちらに来て思います。日本人は真面目すぎです。もっと気楽に、仕事に、人生を楽しんで自分の目標に向かって進んで欲しいと思います。

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AKIHITOプロフィール

有限会社 真偽屋(しにせや) 代表取締役
福岡県出身。TVチャンピオン「特殊メイク王選手権」(テレビ東京系)で3連続優勝。
アメリカ・インターナショナルトレイドショーのアバンギャルド・メイクアップ部門で優勝。
TVシリーズ「ウルトラマンコスモス」では、メイン怪獣デザイナーとして活躍(クレジット上はAKIHITO真偽屋)。
2002年、TV「たけしの誰でもピカソ」の「誰ピカミュージアム」出演後に渡米。
現在はL.Aに在住し、特殊メイク工房の彫刻家として活躍し、映画『ハルク』『エイリアンVS.プレデター』などの特殊造型に携わっている。

AKIHITO氏の公式サイト

 

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